公益財団法人 循環器病研究振興財団

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公益財団法人循環器病研究振興財団について

財団法人循環器病研究振興財団設立趣意書

最近の経済社会構造の変化、人口の高齢化などに伴い、脳卒中・心臓病・高血圧症などの循環器病は著しく増加しています。厚生省の統計による疾患別有病率では、昭和51年以降、循環器病が第1位を占め、循環器病による死亡数は実に国民総死亡数の約40%に達するに至っております。

さらに、厚生省が実施した循環器疾患基礎調査結果などから推定すれば、わが国には高血圧などの循環器病は2,000万人以上も潜在していると考えられます。また、循環器病は単に心臓・血管のみにとどまらず、他の多くの臓器の障害と密接に関係しております。

例えば、糖尿病は循環器病の危険因子として非常に大きな意義をもっておりますが、これが近年、著明に増加し600万人に達するといわれています。また、人口の高齢化に伴い、老年者痴呆患者の増加が注目されており、すでに約100万人に達しているといわれていますが、このようなわが国における老年者痴呆の発生には循環器病が大きな役割を演じているといわれております。

さらに、循環器病は幸い死を免れても脳卒中後遺症や心臓病などにみられるように、しばしば社会復帰が容易でなく、これ自体大きな問題であります。

一方、近年国民医療費が著しく増加し、早晩国民の負担能力の限界を超えることが危惧されておりますが、特に循環器病は単に多数の国民にとっての個人の問題であるにとどまらず、広く社会、国家経済のうえに大きな負担を与えております。

かかる見地から、循環器病に対する原因の究明、治療の開発、予防対策の確立などは、国民保健のうえで最も大きな問題といわねばなりません。

そこで、政府においては昭和52年国立循環器病センター(現・独立行政法人国立循環器病研究センター)を設置し、循環器病に関する研究、診療、研修の中枢的役割を果たし、さらに循環器病研究の推進を図り、また地方循環器病センターの充実強化、集団検診の実施などの施策を逐次実施しつつあるところであります。しかしながら、現状では循環器病対策は、癌のそれに比しなお著しい格差があり、早急に画期的な振興を計ることが渇望されるのであります。

ひるがえって目を世界に転ずれば、欧米諸国においても循環器病が総死亡に占める割合は40~55%といずれも高率であり、今や循環器病制圧は世界共通の課題となっております。よってこの際、官といわず民といわず一致協力して循環器病対策を推進することが必要であります。

すなわち、国内においても、より強力な諸研究機関の連絡協調、研究助成、医療関係者の養成訓練、循環器病に関する予防ならびに知識の普及などの諸施策への支援協力のみならず、さらに、今日、日本が置かれている国際的立場から積極的に諸外国との情報交換、研究交流、海外医療関係者の養成訓練などを進めることが急務であります。今後とも、なお一層のご支援とご協力をお願いする次第であります。

昭和62年9月21日

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